改正入管法ニュース  2018年12月8日法案可決

外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が2018年12月8日成立しました。
現在の日本の人手不足数の試算が政府から発表されました。
2019年      60万人以上  外国人の受入れ予想 33,000人~47,000人
2019年~2023年 約130~135万人の人手不足⇒外国人の受入れ予想は26万人~34万人となっています。
政府は大きな事情変更がない限りこの数字を超えた受け入れは行わないと公表しています。

以下、18のQ&A方式でまとめました。

Q1.改正入管法の柱は何ですか?

改正入管法の柱は、新たな在留資格として「特定技能1号」と「特定技能2号」を創設し、単純労働を含めて就労することを認めるということです。
新制度のスタートは2019年4月1日で法務省入国管理局は外局に格上げされ、「出入国在留管理庁」という名称になる見込みです。

Q2.今回政府が受け入れを決めた14業種とはどの業種ですか?

  1. 農業
  2. 漁業
  3. 飲食料品製造業
  4. 外食
  5. 介護
  6. ビルクリーニング
  7. 素形材産業
  8. 産業機械製造業
  9. 電気・電子情報関連産業
  10. 建設
  11. 造船・舶用工業
  12. 自動車整備
  13. 航空
  14. 宿泊

政府は2019年度から5年間にこの14業種で最大34万5,150人の受け入れを見込んでいます。

Q3.新たな在留資格「特定技能1号」とは?

政府が対象業種として認めた14業種において働くことを認められた外国人労働者に対して与えられる在留資格で、在留期間は最長5年です。家族の帯同については認められません。
「特定技能1号」取得のためには2つのパターンがあります。

■技能実習生

技能実習生は働きながら該当する対象職種に関する技術を習得します。この技能実習生の経験があれば無試験で「特定技能1号」に移行できます。

■技能実習生以外で日本で働くことを希望する外国人

日本の「特定技能1号」を取得するためには、日常会話程度の日本語の試験と技能試験に合格することが必要になります。

従来からあった日本語検定とは違う全くの新しい試験制度となります。

日本語レベルは今までの日本語検定のN3が1つの目安とされています。これは日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルです。

日本人と最低限のコミュニケーションが成立し、仕事の遂行を円滑に行うことができるレベルと考えていいでしょう。

技能試験は、本国である程度経験があれば理解できるレベルのテストとなる予定です。

詳細は法律に関する省令で2019年2月末ごろ示される予定です。

Q4.「特定技能2号」とは?

特定技能2号」の資格は「熟練した技能」を持つと認定された外国人に与えられます。

ただし、いきなり「特定技能2号」とはならず、「特定技能1号」の資格を取得してからさらに難しい技能試験に合格したものだけが「特定技能2号」として認められることになります。

日本語試験は新たに課されることはありません。

実際、従来からコック・ワインソムリエなどいくつかの職種には「技能」という在留資格が与えられていました。「特定技能2号」はこの「技能」と同等と位置づけられることになります。

そのため国が認定した職種ごとの試験の合格証の写しが「特定技能2号」の絶対条件となります。

また、同じ業務を担当する日本人と同等以上の給与での契約が必要です。

その他に以下の書類が必要となります。

  1. 契約機関の登記事項証明書及び損益計算書の写し
  2. 契約機関の事業内容を明らかにする資料
  3. 経歴書並びに活動に係る経歴及び資格を証する公的機関が発行した文書
  4. 活動の内容、期間、地位及び報酬を証する文書

なお、契約形態は直接雇用が原則であり、業務委託契約や派遣契約の形は一部業種以外認められないことになります。

ただし、農業と漁業の分野においては派遣形態による受け入れが可能になる見込みです。

これは、農業と漁業については作業の繁忙期と閑散期の差が大きいためです。

人材派遣業者が外国人労働者と雇用契約を結び、違う品目の農作物を栽培する複数の農家に派遣することができます。

特定技能2号」を取得すれば家族を帯同することも可能になります。

さらに日本国内で「独立生計を営めるだけの資産」を持ち、「通算10年以上在留」すれば、永住権の申請要件を満たすことになります。

Q5.「特定技能2号」はすべての業種が対象となりますか?

「特定技能2号」については「特定技能1号」が5年まで在留が認められることから、すぐにすべての業種で認められることにはなりません。

まず、建設業及び造船・舶用工業の分野を先行することが計画されていますが、今後の政治情勢等によってどう変わるかは分かりません。

Q6.2019年4月からスタートする「特定技能1号」「特定技能2号」に関し、今後法務省令等で決められるのはどのようなことですか?

特的技能1号、2号について法務省令等で決められる重点ポイントは以下のようなものです。

  1. 外国人労働者との契約形態
  2. 受け入れ可能業種の範囲と職種及び人数
  3. 「特定技能2号」の対象業種の明確化、レベルの明確化
  4. 過去に技能実習を修了し、帰国している外国人の取り扱いの決定
  5. 対象となる技能試験の形態と実施方法(海外含む)ならびに費用負担
  6. 求められる日本語の範囲、レベルの決定
  7. 外国人入国後の日本語レベルの向上のための支援
  8. 日本人と同等以上の給与水準の確認方法
  9. 不法滞在防止への対応策・防止策
  10. ブローカーの介入を防ぐ対応
  11. 外国人労働者の転職と雇用管理
  12. 各自治体とのタイアップ(生活上の支援等)
  13. 社会保険への加入の義務化徹底
  14. 雇用保険への加入の義務化徹底
  15. ブラック企業(賃金未払い、最低賃金法違反など)への就職が出来ないような審査の厳格化

上記の15大ポイントの他にも住宅の確保等、自治体との連携なしには進められない課題も多いのが実情で、これらの点も踏まえ審査基準が決められていくことになります。

以下は上記の15項目について現段階での内容(予想)となります。

  1. 外国人労働者の契約形態は? 「特定技能」については原則企業と外国人労働者の直接雇用が対象となります。業務委託が絶対禁止かどうかまでは決まっていません。
  2. 受け入れ可能業種の範囲と職種および人数は? 人手不足で悩む業界を優先するということで14種の職種が採用される予定ですが、2020年のオリンピック対策の人材が優先度が高くなると予想されます。
  3. 「特定技能2号」の対象業種はどうなりますか? 「特定技能2号」の対象となる職種は、従来からの「技能」と同じように具体的に職種が示される予定で、「建設」「造船・舶用工業」が優先的になると予想されています。
  4. 過去に技能実習を修了し、帰国している外国人 過去に技能実習を修了し、現在母国に戻っている外国人も対象になる予定です。ただし、日本語能力が現在もあるかどうかの確認作業等をどうするかについては何ら具体的策は決まっていません。
  5. 対象となる技能試験の形態と実施方法 対象となる技能試験の実施については2019年2月頃までに示される予定です。ただし、その試験が筆記のみか実技があるか、あるいは言語を日本語以外でも行うかは未定です。
  6. 特定技能で求められる日本語レベル 「技能実習生」が3年間の日本生活で習得できる程度の日本語レベルが必要ですが、日本語検定でいうところのN3に該当する日常生活レベルの語学力です。ただし、職種によっては日本語レベルはさらに低くても良いということになりそうです。指定の日本語の試験は、日本以外ではとりあえず8ヵ国で実施されます。それらはベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアとあと1ヵ国になる予定です。
  7. 外国人入国後の日本語レベルの向上のための支援策は? 現在の想定では「特定技能」の在留資格を持つ外国人が居住することになる自治体において日本語や生活習慣等を教えるということになります。ただし、国として基本となる指針なり、テキストの見本等を作成するのかは未定です。
  8. 日本人と同等以上の給与水準の確認方法はどうしますか? 「出入国在留管理庁」では在留資格変更申請(技能実習からの場合)、在留資格認定証明の倍でも労働条件通知書や雇用契約書等の内容で確認することになります。この中で明らかに日本人より低い賃金水準や最低賃金法より低いという事態になれば不許可となります。
  9. 不法滞在防止策への対応策? 「特定技能」については「技能実習」に比べ雇用主に関して、労働者が選択の自由を与えられることになりますので、ブラック企業からの人権侵害による逃亡による不法滞在は防ぐことが出来ると想定されます。
  10. ブローカーの介入を防ぐ対応は? ブローカーの悪質な介入を防ぐということから現在政府が打ち出しているのが、企業と申請人の直接雇用です。ブローカーを介しての業務委託をなくしていくことに効果があると予想されます。
  11. 外国人の転職について対応は? 外国人労働者が「特定技能1号」の在留資格を取得し、同じ内容の業務を行う他社へ転職するようなケースは認められることになります。ただし、「特定技能1号」でも他の業種への変更という場合、試験に受かれば認められるか、あるいは認められないかについてはまだ正式に決定していません。契約機関に関する届出は出入国在留管理庁に届け出る必要があります。
  12. 出入国在留管理庁と自治体のタイアップは? 出入国在留管理庁は限られた人員で運営することになるため、実際に外国人が生活することになる各自治体において日本語教育や生活環境のサポートを行うことが予想されています。ただし、予算の制約や指導する人材の確保など難しい面も多くあり、地域差が生じる可能性が大きいです。
  13. 社会保険への加入の義務化 日本では少子高齢化が進展していることから年金の財政を良好な状態に保つため、外国人の社会保険加入は徹底されると思われます。健康保険については、加入は義務ですが、扶養対象から海外の家族は除外される方向で進められています。
  14. 労働保険への加入の義務徹底化 「特定技能」の場合、労災発生率の高い業種が多いこともあり、企業の労働保険への加入義務は厳しくチェックされることになると思います。労働保険未加入の企業において「特定技能」の在留資格の外国人が働くことが出来ないようなフィルターが入るはずです。
  15. ブラック企業への対応 「技能実習制度」の場合、賃金の未払いや最低賃金法違反などの問題が社会問題化しました。このことから機能強化される「出入国在留管理庁」がブラック企業対策に取り組むことが予想されます。本来の監督官庁である厚生労働省とどのように連携するのかも今後決められることになります。

Q7.技能実習生の制度と「特定技能1号」との関連性はどうなっていますか?

新しくスタートする制度では3年以上の技能実習生としての経験があり、一定以上の技能レベルがあると国が判断した外国人については無試験で「特定技能1号」に移行できるようになります。

日本国政府の想定では、現在25万人いる実習生のうち5年間で約12万~15万人が「特定技能1号」に移行されるとされています。

もともと技能実習制度については、働きながら日本の技術を学び、帰国後は習得した技術を活かして母国で働いてもらうことを前提としていました。

しかし、今回の法改正によって、働きながら日本の技術を学び、その後は人手不足で悩む日本の各業界のために尽力するという性格に変わることになります。その変化の象徴として「特定技能1号」が登場したわけです。

「特定技能1号」は日本語能力の試験を問題なくクリアした留学生については就業分野の知識と技能に関する試験に合格すれば、在留資格変更申請が認められることになります。

外国人留学生が多く働く外食業などにおいては既にアルバイト経験で知識と技能を身につけていますので、比較的簡単に「特定技能1号」が取得できることになると思われます。

Q8.2019年4月1日から改正される労働基準法の改正と外国人労働者の「特定技能1号」は関係がありますか?

日本の労働基準法は外国人労働者が日本国内で働く場合でも適用されますので、当然関係があります。

特に同一労働同一賃金への対応には注意が必要です。

企業が「特定技能1号」に該当する職種で働かせる外国人Aの賃金が、業務内容が同じの日本人社員Bと賃金格差があるということは原則避けなくてはいけません。

例えば外食産業の牛丼チェーン店でマニュアルに書いてあることを理解し、オペレーションができる外国人社員が、日本人と全く同じレベルで働けるということであれば、同じ賃金を支払う必要があります。

また、有給休暇等についても日本人と同様に与えるということが必要です。

基本的に日本語でコミュニケーションが出来ることが前提に在留資格が付与されるので、就業規則にもふりがなをつけるなどして内容を示すことが求められます。

Q9.新しく入国管理局が「出入国在留管理庁」と名称を変えるようですが、今までの組織との大きな違いは何ですか?

大きな違いとしては、外国人労働者の在留管理について、企業への立ち入り検査など厳しく取り締まる体制が組織内に出来ることです。

実際、技能実習生への人権侵害行為が次々に明らかになっていることから、新しい在留資格「特定技能」に該当する外国人労働者が低賃金、違法残業、賃金未払いや暴行などの不法行為の被害者とならないように監視することが重要な仕事となります。

実際監視体制を強化するため、2018年12月時点で4,800人の入国管理局の職員が580人増となり、「出入国管理庁」としてスタートすることが法務省より示されています。

一つの案として、人権侵害を行ったブラック企業に対し、5年間の受け入れ禁止措置が適用される可能性もあります。

Q10.外国人労働者が「特定技能1号」を取得するために必要な日本語能力はどのレベルですか?

現在日本国政府が示している「特定技能」に必要な日本語レベルはN3程度の日常会話程度とされています。

多くの日本人が目にするコンビニエンスストアでアルバイトする外国人店員のレベルとイメージしたらいいと思います。

農業分野においてはさらに低いレベルのN4~N5でも良いとされていますが、今後業界ごとにレベルの設定がされると思われます。

人手不足が深刻な業界の場合、日本語能力が低くても何とかして欲しいと要望が来る可能性もあり、ハードルが下がる可能性もあります。

Q11.外国人の受け入れ環境の整備のため、今後どのようなサービス環境が整えられますか?

現在の予定では「特定技能」の在留資格を持つ外国人は日本社会の一員として安心して働くことが出来るような一元的な相談窓口が全国に100ヵ所以上設立される予定です。

医療機関においても多言語化の対応が出来るようなシステム環境が整えられる予定です。

Q12.2019年4月の入管法改正の中で外国人との共生社会実現のための施策として何が変わりますか?

外国人労働者が増えることから、政府は環境整備に関する具体策としてワンストップセンターを全国100ヵ所に設ける施策を発表しています。

ワンストップセンターでは、外国人の日常生活上の相談を受け付けることになります。

Q13.新しい在留資格「特定技能」取得に必要な日本語能力試験とはどのようなものですか?

海外から在留資格認定証明書交付申請を経て日本に来ることになる外国人労働者が原則として受けなければならない試験です。

基本的な日本語での日常会話および業務上職場にいる日本人と最低限のコミュニケーションが取れるレベルが求められていることになります。

日本語能力試験は日本で受験することができます。さらに海外では、ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ、ミャンマー、カンボジアの7カ国での実施が決まっており、さらにもう1カ国において実施することを調整中となっています。

Q14.新資格「特定技能」の在留資格を与えられた外国人は、日本で銀行口座を開設することができますか?

「特定技能」も在留資格を与えられた外国人は、日本の金融機関で口座を開設することが出来ます

今回の入管法改正においては政府として、外国人労働者が金融機関において口座を開設できるように行政指導を行う予定です。

これにより雇用主からの給与額を把握しやすくします。これは、ブラック企業のような雇用主が給与を適正額支払っていないなど、労働基準法事案を客観的に把握するためです。

Q15.今後「特定技能」の在留資格を必要とされる分野への外国人人材の受け入れが円滑に進むよう政府としてはどのようなことを行う予定ですか?

今後、外国人人材の数を確保するためテキストの作成や翻訳、現地における教育プログラムの策定、インターネットを利用した学習環境の整備を行っていく予定です。

日本語教育については国際交流基金が作成した「JF日本語教育スタンダード」をベースとして、海外に住む外国人向けに日本語教育を効果的に行えるカリキュラム及び教材を開発する予定です。

Q16.「留学」から「特定技能」への在留資格変更は可能になりますか?

まだ法務省令が発表されていないので、断言はできませんが、今回の新資格の「特定技能」については、現在、ホテル業界、外食産業など数多くの外国人留学生アルバイトによって支えられています。

この状況から大学時代外食産業でアルバイトをしてノウハウを身に付け、日本語能力も十分にある留学生については在留資格変更が認められる可能性もあります。

Q17.外国人を雇用する企業等への指導、周知、啓発はどのように行われる予定ですか?

外国人を雇用する企業への指導、周知、啓発については雇用対策法に基づく外国人雇用状況の届出等を踏まえ、ハローワークの職員が事業所を訪問するなどして適正な労働条件の下に働いているかどうかを調べていく予定です。

日本語を含む職場でのコミュニケーション能力の向上、日本の労働法令、雇用慣行、労働社会保障制度などについてセミナーを実施し、企業をサポートする対策も検討されています。

Q18.入管法改正に合わせ、外国人との共生社会に関する政策に求められているものとして政府はどのような考え方をしていますか?

政府が現在までのところ、「外国人との共生社会」の推進について打ち出している総論は、「外国人との共生社会に関する政策を出入国及び在留管理政策と調和させながら積極的に推進する」ということです。

  • 各省施策の連携をより強化する
  • 日本語教育の体系的実施を行う
  • 福祉施策と就労施策など密接に関連し合う施策の連携を強化する
  • 情報提供についても施策の強調実施を図る
  • 国と地方の連携を強化する
  • 多様な外国人の存在がある上、集住か散住かの違いなど地域差がある
  • 地域ごとに異なる外国人住民の構成や求められる施策の相違に配慮した施策を展開する
  • 外国人との共生社会実現のための課題を明確化しそれに応じた計画的な施策の推進が必要である
  • 課題を明確に把握し、スケジュール感を持って着実な施策の推進を図る
  • さらに施策の進捗状況を常にフォローアップをし、施策の改善・充実につなげていく
  • 「生活者としての外国人に関する総合的対応策」の見直しを行い、新しい施策の方針を発表する

※関連資料

入国管理局:入管法及び法務省設置法改正についての概要 http://www.immi-moj.go.jp/hourei/image/flow_h30.pdf